第41回日本生体磁気学会
大会長 小林 宏一郎
岩手大学理工学部

2026年6月12日(金)13日(土)の2日間、岩手県盛岡市で第41回日本生体磁気学会大会を開催させていただくことになりました。

私が本学会大会に初めて参加したのは、1993年の第8回大会でした。当時はまさに生体磁気計測の黎明期であり、プログラムを振り返ると、生体磁気計測システム、SQUID、逆問題、シールド技術、MEG1・2・3、MCG、生体と磁気といったセッションが並んでいました。シンポジウムも2件あり、「生体磁気計測装置の現状」と「脳磁界計測の進歩」が取り上げられていました。

MEG セッションの予稿集を見返すと、7チャンネル、37チャンネル、多くても64チャンネルの SQUID 磁束計が主流でした。私は「生体磁気計測装置の現状」のシンポジウムで、シングルチャンネルの3次元 SQUID 磁束計を用いた脳磁図計測について発表しています。頭表30か所をシングルチャンネルで順に測定し、等磁界線図を描くという方法で、1か所ごとにオペレータが磁気シールドルーム(MSR)に入り、SQUID と頭部の位置合わせ・位置計測を行い、MSR から出てロックをかけて、1点あたり約3分の測定を2回行うというものでした。30か所の測定には約5時間を要し、今では想像できないほど過酷な実験でした。また、解析ソフトもほとんど市販されておらず、ノイズ除去や信号源推定のプログラムも自作していました。

このような測定環境から、現在では100チャンネルを超えるセンサによるワンショット計測が可能となり、高性能な解析ソフトも整備され、本学会での発表内容も大きく様変わりしました。

そこで今回の大会では、「そもそも SQUID とは何か」「原理はどうなっているのか」「なぜ計測波形から信号源推定が可能なのか」 といった、若い世代には必ずしも十分に知られていない基本的な装置技術・解析技術に立ち返るシンポジウムを企画しました。装置開発の研究に携わってきた者として、皆さまに生体磁気計測の歴史的な流れを改めて知っていただければと考えています。

また、日本磁気学会からの後援を得て、日本磁気学会バイオマグネティックス専門研究会との合同シンポジウムを企画しました。磁気を用いたがん治療や磁気イメージングなど本学会と近い研究内容のご講演を頂き、両学会の交流や発展に寄与できればと考えています。

特別講演では、生体磁気計測の第一人者である、広南会広南病院 病院長・東北大学名誉教授の中里信和先生に、長年のご経験に基づく生体磁気研究への思いをご講演いただきます。 また教育講演では、金沢大学人間社会研究域学校教育系の吉村優子先生に、現在重要な課題である発達障害を脳機能から理解するための脳磁図の役割についてご講演いただきます。

6月の岩手県は、新緑がまぶしく、1年の中でも特に過ごしやすい季節を迎えます。市内には豊かな自然が広がり、少し足を延ばせば、歴史ある寺社や文化遺産、風情ある街並みを楽しむことができます。また、盛岡は食文化も豊かで、地元ならではの料理や名物も多く、訪れる皆さまにきっと喜んでいただけることと思います。

交通の便も良く、東京駅から新幹線で約2時間15分と、首都圏からのアクセスも大変便利です。学会の合間に市内散策や自然に触れる時間を楽しんでいただければ幸いです。 本大会が、参加者の皆さまにとって有意義で実り多いものとなるよう、準備を進めております。多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。